鶴屋開店休業回転ベッド

あたしの創作世界の基盤。だけどとてつもなくフレキシブルでヨレヨレにブレてる。キャラが勝手に動くんだ♪

綺麗な花には棘がある3(美月と真利村兄弟11)

瑞穂は気が狂いそうだった。
なんとかあのホモを辱しめる方法は。

女なら、彼氏の目の前で回してやれば
手っ取り早い。
阿部には手を出したくなかったが
この際仕方がない。
放課後いつも一緒にいるのがいけないの。
あんなにやさしくしてるのがいけない。
あいつが汚いホモだってわからせて
幻滅させてあげなきゃ。

瑞穂は悪そうな大学生をつかまえて
話をつけた。
自分の学校の附属の大学はあまり
素行の悪い学生がいなくて苦労した。
阿部と真利村を二人同時に捕捉し
真利村を犯すにちょうど良い場所が
揃っているのはやはり学校だった。
同じ学園内の大学生ならば
自分がシラをきり大学側の不祥事として
問題にされれば後腐れがない。
傷つかずあいつらの仲も壊せて
阿部はわたしのもの。
完璧ねとほくそえむ瑞穂は
下品に口角を斜めにして笑っていることに
気づいていなかった。

決行はテスト週間の初日。
ちょうど土曜日だが部活がなく
放課後は本当に静かになる。
瑞穂は計画を大学生二人に預けた。
昇降口で二人を拉致
体育倉庫に放り込み
一人が阿部を羽交い締めにしながら
もう一人が真利村を犯す。
真利村が良さそうにすれば
その場で二人は終わりだし
真利村を助けられなかったことで
阿部も自責の念にとらわれて
二人の仲はぎこちなくなるという
寸法だ。ざまあみろ。



努は阿部に瑞穂のことを
なんとなく言えずにいた。
ただ、あんな風に狂った女が
阿部に好意をもっている。
そんなことを教えたくなかった。
あんな女の毒牙にかからぬよう
守ってやらなければ。
こんな時は俺が佑樹を守りたい。
なんだか強くそう思う努だった。




※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

ねえ。あなた、この前真利村君の話
していたでしょう?

ああ。美月先生に邪魔されたけどさ。
良い子だよ。こないだ同級生の女子が
来て努の話をきいてきたよ。

もしかして、赤井瑞穂って子じゃなかった?

しってんの?かおる。

あの子はやばいよ。
つぎはどんな手を使うか心配なんだ。

どういうことさ。詳しく聞かせてくれよ。


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隣のクラスの佑樹の下駄箱は
努のクラスの裏側だ。
来週から期末テストで、土曜の今日も
部活は一切停止。校内が少しずつ静かに
なっていく。
努は、今日は苦手な数学を佑樹に教えて
貰おうと思っている。
お互いの家でやると一向に捗らないので
図書館に寄るつもりだ。
いつまでも靴を履いて出てこない佑樹に
痺れを切らした努が反対側を覗く。
「来るな努!走って逃げろっ!」
努は目を疑った。佑樹は見知らぬ男に
羽交い締めにされサバイバルナイフを
喉元に突きつけられている。

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さっき叫んだからだろう。うっすら
血が滲んでいる。
努は瞬時に赤井瑞穂の差し金だと理解した。
狂ってる。あの女。
「赤井だろう?あんたらにこんなこと
やらせてるのは。連れてけよ。
あの女のとこ。ボコボコにしてやる!」
「やめろ!努!」
努は背後から襲ってきたもう一人の男に
殴られてぶっ飛び、同じようにナイフを
突きつけられて脅された。

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つれてこられたのは
いつもの体育倉庫だった。
あの頃は色んな先輩が俺のことをここで
抱いてくれた。
いまや懐かしいくらいの思い出に
なりつつある。

案の定、奥に赤井瑞穂がいる。
「阿部くんにはナイフはやめてって
言ったでしょう?真利村なんかはすこし
切り刻んじゃっても良いし、去勢したって
いいけどさ!」
佑樹も事の経緯をなんとか飲み込んだようだ。

「この気違い女ぁ!お前のしてることは
既に犯罪だぞ?!わかってんのかよ!
こんなやつらにこんなこと頼んでる時点で、
最後はお前だってこいつらに回されんだぞ!」
瑞穂の目が一瞬怯える。嘘でしょ?
わたしは貯金はたいてあんたたちに仕事を
依頼してるんだからね!
男たちはニヤニヤしながら頷きあうばかりだ。

「とにかく!早くこのホモを犯してよ!
アヘアヘ言わして気持ち良さそうにした
汚い顔を阿部くんにみせてやって!」
努は男に抱かれることには抵抗はなかった。
この男たちに体を任せるかわりに
佑樹をいますぐ解放してほしい。
これ以上あいつに痛いことをしないで。
放してやって。
努は泣きながら懇願した。
俺はどうなったっていいから!

そういった瞬間、何故かその場の空気が
変わった。心が強くなる。あの声が。

「努!阿部!大丈夫か?!」
努を羽交い締めにしていた男が
その声に振り返ったとき、美月の靴底が
そいつの顔を不自然な角度で踏みつけていた。

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