鶴屋開店休業回転ベッド

あたしの創作世界の基盤。だけどとてつもなくフレキシブルでヨレヨレにブレてる。キャラが勝手に動くんだ♪

努と朱美


「またなの?そのたんびに俺のとこ来んの
やめてもらえないかな。」
俺たちは高等部に上がり、俺と歩と佑樹、
朱美も一緒のクラスになった。
担任の先生は一度、美月先生が新婚旅行中に
授業をしに来てくれたこともある坂元先生だ。
美月先生と坂元先生の仲の良さは有名で
中等部で美月先生に世話されていた
問題児は高等部では坂元先生のクラスに
なることが多いのだとか。
そうか。俺たち問題児だったわけだね。
まあ、色々あったからな。
でも、坂元先生は佑樹のお姉さんの
華秋さんの担任の先生だったらしいから、
それも関係しているみたい。
兄弟は可能な限り同じ教師が担任を
持つらしいね。だから双子も一緒のクラス。

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「酷いのよ。歩ったら。」
朱美は将来俺の義妹になるかもしれないから
あんまり冷たくはしたくない。
だけど、こいつちっともわかってないんだよ。
歩が浮気を浮気とも自覚しないわりに
超絶焼きもち妬きだってことをさ。
朱美は、なぜ自分を差し置いて
歩が他の女の子と変態プレイをするのかとか
二時間目終わりの10分の休み時間に
他の女の子の性器の奥までさんざんかき回した
ぺニスを、昼休みに朱美にしゃぶらせようと
するのかとか、信じらんない!と叫びながら
俺に愚痴るのだ。

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「ごめんね。努ぅ。あたしもわかってんの。
で、最終的には努から『心配すんなよ。歩は
何だかんだ言って朱美を愛してるんだから。』
って言ってほしくてここに来るのよね。
慰めてほしくて来ちゃうのよ。」
朱美は親愛の情を表しているつもりだろう
俺の側にきてそっと手をとる。うが。
「でもこんな愚痴が言えるの努だけ。」
女の本能か、男の形状をした俺に
甘えたようなハナにかかった声を出しながら
軽いスキンシップを繰り出してくる。
俺はずっと我慢していたが、無理が祟った
ためかいつにない拒絶反応が起きた。
「ごめん朱美!ちょっとトイレ!」
朱美の手を振りほどいて俺はトイレに
駆け込んだ。
きっと俺が触れても拒絶反応が起きない
心地よく触れ合える女性は後にも先にも
美月先生ただ一人なんだろう。
抱き締められ頬擦りされ頬っぺたにキスも
卒業式の嬉しい思い出になっている。
朱美に手を握られ、甘えた声でくっついて
来られただけで俺はトイレで戻している。
部屋に帰ると朱美がニコニコと俺を迎える。
ごめんね。くっつきすぎたかな。なんて
俺が自分の甘酸っぱい色気に少しコーフン
しちゃってわざとトイレなんて言いながら
インターバル置きに行ったんだと思ってる
ようなご機嫌さで体をくねらせる。
こいつ。こんな風にしてる間に
歩が帰ってきて焼きもち妬いて、
自分を奪い返すように激しく腕を引っ張り
部屋でセックスしながらの仲直り
なんて展開を期待していないか。
そもそも、その歩のぺニスは
さっきお前が俺に愚痴ったように
他の女の子の唾液と愛液にまみれているし
そんなすべてが終わったあとに俺が
どれほど歩にいびられるかなんて
一つも考えてやしないんだもんな。


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俺は真性ホモに女嫌いを拗らせてて
仲良くできるのは加奈子と美月先生くらい
なんだよね。
加奈子とは柔道部の牧瀬加奈子で
例の事件で仲良くなったんだけど
あいつほんと男前だわ。
女にしとくのはもったいない。
美月先生は性別を越えた、ある意味聖母。
俺はこの二人の女性以外は嫌いと言っても
言い過ぎではない。
だから。朱美とはあまり。
同じ部屋にいたくないんだよ。

あ。歩が帰ってきた。
もお嫌だ。俺。

「朱美、またきてたんだ。なんで俺の部屋で
待ってないんだよ。ベッド入って脱いでりゃ
いいじゃねえか。ほら、もたもたすんなよ。」
「歩ぅ。」
ふうん。今日は話が早い。
ま、これで朱美のご機嫌は直るだろうが
そのあと何が出るかだな。
俺先週やられたこめかみをぐりぐりされるの
まだぼんやり痛むんだけど?






「努はいつも朱美のお相手お疲れ様。」
気に入らないオーラをめらめらと出して
右側だけ口の端をあげて笑う歩。
もちろん目は笑ってない。
「なあ。朱美とは何してたの?あやとり?
おはじき?手押し車?」
手押し車は佑樹とやったけど
あんまりよくなかったよ?と返事をすると
歩は舌打ちをして言った。
「努さ。イメチェンしねえ?ほら、髪型
かえてみたらいいんじゃねえか?イケてるぜ」
歩は俺の髪の毛を両手一杯に鷲掴みにすると
天に向かってグーっと引っ張りやがった。
「いででいででいでで!いってぇよっ!」
我慢できずに俺は歩を振り払って突き飛ばした。

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「毎回朱美からはお前の浮気の愚痴を
聞かされて、お前にはこうして暴力的な
焼きもちを妬かれて、面倒見切れねえよ!
いい加減にしてくんねえか!」
息もつかずに叫んで俺は肩で息をする。
歩は真顔で浮気なんかしていないという。
これ、本当に罪悪感がない。
他の女の子とセックスをすれば朱美が怒ると
学習済みではあるものの、その真意はいまいち
ピンと来ていないらしいのだ。
「俺は朱美を愛してるよ。それは変わらない。」
「じゃあ今日の五時間目終わりの休み時間
2年の池田さんと視聴覚室の副調に入って
何してたんだよ。」
「あ、あれは対面座位で吸いとられたんだよ」
「じゃあ、昨日の朝自習の時間、図書館の
持禁コーナーで片瀬さんと何してたんだよ。」
「え、あれは俺があいつの後ろから書架の
上段の本を取りがてらのたまたまの
立ちバックだよ。ほんの事故さ。」
「いい加減にしろよ。朱美はみんな知ってる
からな。あんまり言うとお前逆ギレすんだろ
あいつは我慢して我慢して俺に愚痴りに
ここにくんの!!」
歩は真剣な顔で言った。
「朱美、結構束縛激しいなあ。参った。」
朱美はとことん報われない。
俺もまだまだ子守りが続きそうだ。
そうだ。焼きもちを妬いている歩は
不機嫌な小学生だから。