鶴屋開店休業回転ベッド

あたしの創作世界の基盤。だけどとてつもなくフレキシブルでヨレヨレにブレてる。キャラが勝手に動くんだ♪

努とその恋人の少年 ※R15

佑樹は至って普通の男だ。
なのになぜ、俺をパートナーにしたのか。

佑樹ははじめ、嫌なやつだった。
隣のクラスになった中三のとき
佑樹は俺を蔑むような目で見ていた。
そのたびに俺は悔しい気持ちが
もやもやと胸を支配し
結局俺の方から目線をそらすことしか
出来なかった。
はじめは確かに-50くらいからの
スタートだと思う。
まさかそれが
「気になって話したくて触れたかった」
という思いを募らせていたなんて
こんなんじゃ誰にもわからない。
でも、歩にはわかったというのだから
あいつの鬼畜ぶりはすごい。
俺の好みの男をつり上げるための宣材として
俺の喘ぎ声を録音するためだけに佑樹を
そそのかして、俺を犯すよう仕向けた。
でも、鬼畜には今一つ恋心の機微が
わからなかったようだ。
佑樹は俺を最後まで抱かずにだらだらと
愛撫を続けた。
俺は痺れを切らして佑樹をひっぱたき
捨てぜりふを残してとっとと帰ってきたのだ。

それから佑樹の目が変わった。
この上なくやさしく、照れたような笑顔を向け
柔らかく腕を引き、ちょっぴり強引に肩を
抱いてくれるようになった。
佑樹は俺より背が高い。
そんな風にそばにいてもらうと守られて
いるようで、今まで味わったことのない
感覚でうれしかった。でもあんまり佑樹が
急にやさしく俺を包んでくれるように
なったもんだから、警戒心が先行したし
素直になれない自分がいた。

美月先生が結婚する。
いくら夢にみても彼女はもう
昔からずっと愛し合ってきた男性と
幸せな家庭を築こうとしているのだ。
祝福したい気持ちと同じだけ
自分で自分を打ちのめしたんだろう。
誰が悪いのでもなく、自分が自分で
ダメージをくらってるだけ。
だけど、俺は余計なことを美月先生に告げず
いらない心配をかけなかった自分を
誇りに思えるようになったのだ。
好きな人が心を傷めるのはつらい。

そんな俺を心配してくれて
そばにいてくれた佑樹は
いわば無償の愛を俺に注いでくれていた。
俺は数え切れない男の人に抱かれてきた。
みんなとても紳士で、やさしくしてくれたけど
俺という男を想ってくれた人はいなかった。
そりゃ、それだけではないけど(佑樹は賢くて
人の痛みのわかる、逞しい男だ。)
俺はとてもやさしく今までにない人の
手に落ちた。これからもこの手を離れる
ことはないだろう。

男同士だから、お互いの家に泊まったり
普通の友達としてのつきあいをしていた。
けど、夜はベッドで愛し合っていたし
コンドームをいくつか消費したあと、幾重にも
袋に入れてゴミ箱に棄てた。

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あの鬼畜がいうには。
「俺でもムラッと来るぜ、お前の感じてる声」
「あの声を聞けば男はみんなやられるよ!
最強の武器だな。お前一生男には困らないよ」
なんか歩に言われても嬉しくないけど。
逆に俺はよく喘ぎ声を上げるということだ。
俺んちでの時は夜でも気を使わずあんあん
声を出してしまうし、学校でも声をあげる方が
みなさんコーフンしてくださったので
俺は喘ぎ声を我慢したことがなかったのである。




佑樹の部屋で、キスが濃厚になってくるにつれ
佑樹がベッド横の引き出しからコンドームを
まさぐり出して、俺にキスを続行しながら
封を切った。なんか、その一連の動作にも
条件反射でどんどん感じてしまう。
はんっ。と声が漏れると佑樹があわてて
俺の耳元で囁く。
「努。隣の部屋に親父がいるから。
聞こえるよ。」
え。あ。そうか。
うちみたいに隣の部屋は鬼畜、下の階に
同じように彼氏を連れ込んでる姉、夜は
家にいない両親。なんて環境の家とは
条件が全く違うのだ。
「俺もお前のエンジェルボイスをもっと
聞きたいけど、仕方がないな。我慢して。」
佑樹は残念そうに言っていつもの愛撫に戻る。
なんだか、声を我慢するとどんどんつらくなる。
それは一つの快感がどんどん膨らんで
破裂しそうになるくらいに気持ちいい。
ここで叫べたらいける。
身体中でそれを押さえ込む。
全身が痙攣して反り返る。

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だめ、もう。
あう、あう。
俺はぎりぎりで枕を顔に当てて
すこし大きめの喘ぎ声をカバーした。
俺の臍の回りにキスをしていた佑樹は
顔をあげたタイミングで俺にたっぷりと
顏射されてしまった。

「俺、ほとんどなんもしてないよ。」
佑樹はキョトンとしていた。
きっと佑樹にはわからない。
我慢する快感が。
俺のどM心はこれっぽっちで満足はしないが
逆にこれっぽっちのことがこんなにいいなんて
呆れるやら嬉しいやら。
俺は密かに佑樹の部屋でのセックスを
楽しみにするようになった。