鶴屋開店休業回転ベッド

あたしの創作世界の基盤。だけどとてつもなくフレキシブルでヨレヨレにブレてる。キャラが勝手に動くんだ♪

賞平と浅海2

「久しぶりだな。浅海。」
「んふ。賞平くんてば、カッコよく
年食ったね。素敵だよ。」
「やめろ。おだてたってなんもでねぇぞ。」
「おだててなんかないのに。」

浅海が相談員として久田学園中等部の保健室に
詰めるようになった頃、賞平と再会した。


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「大人しい顔つきになってたから
気がつかなかったんだ。改めてみたら
今すぐにでもくわえたいって顔してるぜ。」
「賞平くんはあたしを何だと思ってんの。」
「浅海だよ。俺をドキドキさせてくれた。」
「別に。そちらが勝手にドキドキしたんでしょ。」
思いの外冷たい態度の浅海に、賞平は違う
角度から切り込んでみる。
「お前は年上より同い年か下がタイプか。」
これは自分にちっともなびかない浅海が
同い年の彼とずっとつき合い続けて結婚した
事実に沿ったちょっかいだったのだが。
「え。ち、違うわ。そんなんじゃないの。」
「あれ?俺、なんか地雷踏んだ?」
「あん!何でもない!あたしの回りに
素敵な年上の男が居なかっただけよ!」
これはかわいい。
賞平は意外に思うと同時に、もう少し
ほじくり返してみようとほくそえむ。
「お前、生徒をつまみ食いしてんじゃ」
当てずっぽうだったが、全部言い終わらない
うちに浅海の顔が般若に変わった。
「滅多なこと言わないで!」
「素直な女だ。変わってない。」
賞平は浅海の耳にキスするほど近づいて
吐息か声かわからないほどに囁いた。

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「惚れたのか。中学生?高校生か?」
「もうっ!いやぁ!賞平くんのエッチ!」
「エッチってお前。」
賞平はもうからかって楽しもうというだけでは
済ませておけないと突っ込む。
「毎日顔合わせて、大丈夫なのか?もう寝たの?」
バレちゃいないか、相手の生徒はどれほど
浅海に翻弄されているのか、刃傷沙汰だけは
避けろと矢継ぎ早に捲し立てた。
急に浅海の表情が落ち着く。
慈愛の色さえ滲ませて微笑む浅海。
「大丈夫よ。片想いだから。あいつは
ちゃんと彼女を愛してるし、そんなあいつの
ことが好きだから。」
賞平は今までの浅海という女に抱いていた
イメージを修正せざるを得なかった。

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「コクりはしてるのよ。いつもこうして。」
浅海は目を閉じて、賞平の耳元に唇を寄せ
触れるくらいに近づいて、大好きよと囁いた。
賞平は全身に電気が走り体が震えた。
「……お前はとてつもない悪女だな。」
「初めてよ。そんな言われ方。」
「セックスは?」
「しないわよ。そんなことしたら
あいつが辛い思いをするわ。
するわけないでしょ。」
「ズルいな。」
「あたしの性欲はあたしが片付ければいいし。」
「そいつは毎日お前を見てちんこ
おっ勃ててるんだぞ?精神衛生上良いわけ
ねえだろうが。」
「やめて!毎日会いたいくらいよ。体だって。」
「生徒じゃ、ねえのか。」
「もうっ!やめてったら!」
浅海は本気でその少年に惚れている。
もう賞平には浅海が踏み外さないよう
祈るしかないと、それしか出来ないんだと
思った。
「俺が美月に惚れてんのとおんなじか。」
その時、浅海の表情がまたくるりと変わった。
次の瞬間、彼女自身がその表情を消したのだ。
「賞平くんは美月先生が好きなんだ。」
「ああ。あいつと初めて会った23年前から。」
「ヤッちゃおうって思わなかったの?」
「お前がさっき自分で言ったろ?あいつの
ために、出来るわけないよ。」
「ふぅん。」
浅海は賞平を見上げてかわいらしく唇を
つき出す。ぷっくりとして色っぽい唇。

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「なんだろ、このシンパシイ。抱かれてもいい
くらいな気持ちになるわ。」
「この年で毎回惚れ直すよ。あいつはいい女だ。」
「奥さんとの仲は?」
「愚問だな。昼夜ともに満足させてるよ。」
「エッチ!」
「エッチってお前。」
だが賞平には薄々わかっている。
自分と美月なんかより
浅海が相手の少年に与えているものは
よっぽどとろとろで甘い蜜なんだと。
そのうち、二人でいるところを見てみたい。
でも昔のようには覗かせてくれないだろうな。
賞平は思い巡らせて下衆な笑みを浮かべていた。