鶴屋開店休業回転ベッド

あたしの創作世界の基盤。だけどとてつもなくフレキシブルでヨレヨレにブレてる。キャラが勝手に動くんだ♪

美月と努と歩 (美月と真利村兄弟1)

「ねえ、努?関先輩OKだって」
俺ははしたないことに、即座に自分の
下半身に先輩が侵入してくる様子を
かなりリアルに想起した。
胸が(本当はもっと下が)くうっと
熱くなる。
「この間、お前阿部にちょっかい
出されてたじゃんか。あの時のテープ
聴かせたら一発OKだったよ。」
え?テープ?なんの話だよ。

俺たちは双子の兄弟だ。
俺は兄の真利村努。
弟は、歩。
俺は少々Mっ気が強いホモセクシャル
歩はバイセクシャルでまごうことなき
鬼畜である。
今年で二人同時にこの世に生を受けて
15年を迎えるが、歩の鬼畜ぶりは
5年くらい前から全開バリバリだった。

俺はもう物心ついた頃から
男性にしか興味がなかった。
でも、それが大抵の少年達とは違う
性的嗜好だということがわかってきて
一生涯このことは自分の胸に秘めておこう
と誓ったのだけれど。
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10歳の誕生日に、歩が俺に耳打ちした。
「ねえ。努?お前サッカー部の松崎先輩
好きなんだろう?」
俺はこの場で自らの命を絶たなければ
とんでもないことになる、と瞬時に
悟ったのだが、そこでまたどMの血が
同時に目覚めてしまったのだ。
サッカー部の松崎先輩はふたつ上の
12歳だがとてもセクシーな首筋の持ち主
なのだ。俺は思い出すだけでうっとり
してしまう。下半身に意識が行くが
まだ何をどうして良いのかまでは
自分では分からなかった。
「努はさ。いけないことだって思って
ないか?知ってるよ。努が男にめちゃ
くちゃにされたいと思ってること。」
はあ。この日から、俺は立派な
ホモセクシャルとして好きな人から
別に好きじゃない人まで
体で交わり続けていくことになる。

男色って実はさほど珍しくない。
というか歩が実に巧みに相手を探しあて
俺の体を餌につり上げてくるのだ。

そうだよ!テープ?なんのことなの?


阿部は隣のクラスのちょっとイケメンな
でも俺を蔑んだ目で見る嫌なやつ。f:id:sinobusakagami:20150717205205j:plain
この間、力ずくで体育館の用具室に
連れ込まれて身体中にキスされた。


男同士で何をどうしたらいいかも
分かんないくせに、俺を組み敷いて
ニヤニヤしてやがった。
確かに感じた。良いキスしてくる。
いいところ吸ってくる。時折、舌でチロ
っとしてくるのも、よかったのに。
それまで俺はさんざん喘ぎ声をあげて
いたのを後悔した。
最後までいく気もないくせに
馬鹿にするなよ。
俺は阿部に平手打ちを食わすとさっさと
帰ってきた。
どM舐めんな!

今思えば阿部を焚き付けたのが
目の前にいる双子の弟なのだと
すればすべてに合点がいくのだ。
宣材として俺の声をテープに
収めようと、段取りをさりげなく
整えて。阿部を思うがままに誘導した。

「努の喘ぎはエンジェルボイスだからな」

もうやだ。こいつ、鬼畜すぎるぅ。


まあ、ともかく、歩がどんな形で
交渉したかは置いておき。
俺は関先輩に抱いてもらえるのが
素直に嬉しかった。

明後日の土曜日。
第二グラウンドの倉庫だ。
もっとキチンとした場所でやったら
どうかと思う?
そういうのはもっとずっと年上の
大人の男性とする時のシチュエーション。
しちゃまずいところでするのが
たまらないのさ。
学校でヤられるのは、生徒同士か
先生と生徒の関係でだけだ。
俺はわりと学校で、が気に入ってる。

当日、俺はYシャツの下に本来着用を
義務づけられている体操着のシャツを
脱いでいた。もう、胸がつんつんして
はやく授業が終わらないかドキドキ
していた。頬が紅潮していたからか
担任の先生が俺を覗きこんだ。
「おい、努。熱あんのか?顔赤いぞ。」
この先生は女のくせに目が格好いい。
身のこなしがグッとくる。
手が大きい。
何気なく腕を垂らしている時でも、
その手がどんな風に動くのかを思うと
自分に触れられる感覚で身体に電気が
走ったりする。
女のくせにさ。俺は女は嫌いだ。

放課後。俺はウキウキしながら
第二グラウンドに向かう。
いつもは陸上部が使っているが
今日は大会があるから
このグラウンドには誰もいない。


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「君が?」もう倉庫の扉の横で
もたれかかり足を組んでいる関先輩が。
ん?
向こう側の壁に、もう二人。
先輩の友達なのか。
ニヤニヤしながら俺を見ている。
聞いてない。
4Pとは、聞いてない。
さては歩が小遣い稼ぎをしたものと
思われる。その一部で避妊具を配給
したりするが、これはだいぶアイツの
懐に入っていると見た。
俺は上と下でくわえる順番を頭で
シュミレーションした。

「あはあ。う、うまいね。あ。はあ。」
俺は口で関先輩を。
背の高いシャイな表情の先輩にバックで
来てもらって、もう一人の厳つい顔をした
胸板がセクシーな先輩を握った。
関先輩はもうそれは呆気なくいってしまい
それでも俺の頭を抱え込んで奥へと
くわえ込ませた。俺は彼のを喉を鳴らして
飲み下すと、キスをしてほしくて上目遣い
に先輩を見たが応えてはくれなかった。
俺の後ろで熱い気配がした。
これで一度終わったらいよいよ関先輩に
来てもらう。美味しいものは最後まで
取っておくのが俺の食べ方。
後ろから奥まで貫かれるつもりで
身体をしならせたが、急に三人の先輩が
俺から離れた。同時に倉庫の扉がガタガタ
派手な音をたてる。どなり声がした。
「こらあっ!明!修司!行彦!開けろ!」
ん?この声、先生?

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「うわあっ!鷺沼くんっ?!マズイ!」
因みにうちは中高一貫校どころか
幼稚園から大学までくっついたマンモス校
なんだな。特に中高は部活も一緒だから
こんな風に高校生の先輩に抱いてもらえる
わけなんだけど。
中学の先生は、持ち上がりで高校に行った
生徒を全員知っているのである。
先生は南京錠のかかった木戸を蹴破って
中に入ってきた。
「な、何だよ。性的嗜好には口出さない
って言ってたじゃんか。」
関先輩は明らかに拗ねた小学生のように
なって言い訳をはじめた。
「バカ!三人で寄ってたかって
中学生襲うような性的嗜好は認めん!」
そっか、お前鷺沼くんのクラスかー。
先輩達は着衣を整えるとにこにこしながら
またね。なんて俺にウインクして
帰って行った。

鷺沼先生は、透き通った涼やかな瞳で
俺を真っ直ぐに見つめた。
俺はノロノロとズボンをあげると
どうしていいかわからず
ポカンとして先生の瞳を
見つめ返していた。f:id:sinobusakagami:20150717204725j:plain

先生は俺にYシャツを着せかけて
大丈夫だったか?遅くなってごめんな。
何にもされてねえか?と気遣いながら
俺の肩に手をまわした。
暖かくて。力強い手が。俺を心配して
動き始める。背中に回ってグッと引き寄せ
ぱんぱんと軽くタップしはじめる。
こわかったか?あいつらも悪いやつじゃ
ないんだけどね。でも、無事でよかった。

今まで、こういう場所で
剥かれるばかりだった俺が。
はじめて服を着せてもらった。
はじめて、努として大切にされたんだ。
俺の瞼には涙が溢れだして頬に流れた。
先生はぎゅっと俺を抱き締めて
大丈夫だ。いいよ。泣きたいだけ泣け。
先生がついてるからな。

そりゃ、もう少し来るのが遅くても
大丈夫だったんだよ。なんて心の片隅で
舌を出している俺もいたんだけど。