鶴屋開店休業回転ベッド

あたしの創作世界の基盤。だけどとてつもなくフレキシブルでヨレヨレにブレてる。キャラが勝手に動くんだ♪

失恋と慰め (美月と真利村兄弟6)

「キス、してよ。」

努は本当は抱いてほしいと思った。
言えなかったのは、綺麗事でもなんでもなく
滅茶苦茶にして忘れさせてなんて
あんまりだなって思ったからだ。

阿部は自分を好きだと言ってくれてる。
心配してくれて、何か出来ないかと
俺の手を取ってくれる。
俺はといえば、いつも見た目で良いなあと
思うセクシーな先輩を歩に連れて来させて
抱いてもらって、好きでいてもらってる
なんて気分を味わって。
やっと閉じきった想いを開いてくれた
美月先生が結婚するとわかってから
失恋したような気になって悲しんでる。
その傷ついた心を癒して貰おうとしてる。
俺は随分と酷い奴だ。
ひとつも阿部のためには何もしてやって
いないんだから。

「キスだけで、いいから。」
阿部はキス以上を拒まれた気になった
みたいでしゅんとしてから
直ぐに笑顔になった。
嬉しそうに上がった口角を下げようと
して下げられない阿部はさくさくと
俺を信号の向こうにある電話ボックス
に連れ込んで抱き締めてくれた。
暖かいな。耳元で囁かれると
もう俺の方から唇をつきだしていた。


f:id:sinobusakagami:20150719123459j:plain




駅に着くと、阿部は家まで送ると
言ってくれたのだが断った。
また、少ししゅんとしたあと直ぐ笑顔に
なって俺の頭に頬擦りした。


f:id:sinobusakagami:20150719123525j:plain


いつでもキスするから。呼んで。
なんて言って俺を笑わせた。
また明日な。
俺からハグして別れた。