鶴屋開店休業回転ベッド

あたしの創作世界の基盤。だけどとてつもなくフレキシブルでヨレヨレにブレてる。キャラが勝手に動くんだ♪

佑樹と努 ※腐R15 BL注意

俺はもう努に夢中だった。
これ以上好きになったら
何をどうしたらいいか
分からなくなりそうで怖かった。

あいつの体中にキスをしていたとき
欲しくて堪らなかったけれど
その反面とても不安で。
俺は同じ男であるこいつを大切に
守ってやりたい、そして自分も求められたい
そんな風に願ったんだ。
あいつも望んでいたとはいうものの
俺だけの気持ちで一方的にあいつを貫ける
わけがなかったのだ。
もたもたと迷っていた俺を
努はぶっ飛ばしてくれた。
大好きだよ。あいしている。
男であるのにも、何の迷いも不思議もない。
俺は、努が、好きなのだ。

「何をにやにやしてんのさ。」
わかっていて隣にいる努は
俺がちまちまと思い出しては鼻の下を伸ばして
いるのをからかうように寄り添った。
俺は学校での日常から
お互いの家族との関わりから
そして、ベッドのなかでの耳障りの良い
囁きかける声と、堪えきれずに漏らす声を
すべてを嬉しく鼻の下を伸ばして
反芻することができるのだ。
「でも、初めての夜はそれどころじゃ
なかったな。あれは不甲斐なかった。」
そう。俺は男を抱くのも初めてだった。
もちろん女も抱いたことなかった。
やりたい気持ちは一杯なのに。
なんにも、知らなかった。

美月先生が結婚して努が失恋したような
気持ちでいたとき、元気のなかったあいつが
もう見るに堪えなくて。
俺なんかにもしてあげられることはないの
俺は必死であいつに訊いたんだ。
キス、してよ。
もう息が止まりそうにズッキーンと
胸が高鳴って。
嬉しいような信じられないような
複雑な気持ちだった。
キスだけでいいからって言われたときは
やっぱり自分にそれ以上の資格はないんだよ
なあとガッカリもしちゃったけど。
俺は努を電話ボックスに押し込んで
すぐにキスして差し上げようと思った。
今思えば、あいつの手を強く握って
ガンガン先を歩いて、なかば強引に引っ張って
振り回すようにボックスに押し込んでたのだ。
あいつは俺より10cm背が低い。
抱き合うにも、唇を寄せるにも
ちょうどいい身長差で
そんなことが嬉しくて、まず努を抱き締めた。
あいつの体は細くて、弾む軟らかな筋肉が
しゅっと通って、肌は滑らかで頬が触れた時
俺のは八割くらい立ち上がってしまった。
あったかいな。
あいつの体があったかいのは当然なのに
そのあったかさは自分を受け入れて包んで
くれるためのものと、勝手に思った。
あいつの方から、俺のキスを迎えに来た。


f:id:sinobusakagami:20150817180033j:plain


唇から体中に電撃が走り
キスってやっぱり前戯なんだなって思った。
初めにそれを思ったのはもちろん、
努に無理矢理キスの雨を降らせたあの時。
でもそれとは比べ物にならない。
失恋の悲しさをまぎらわせるためとはいえ
あいつから求めてくれた、キスだった。
ずいぶんと長いこと、俺たちはお互いを
味わい、離れがたくて舌と唇を駆使して
何とかしてキスを継続させようとしてた。
そんな濃厚すぎるキスをしたあとは
切なくて苦しくて、フラフラだった。
努は俺の胸に頬を擦り寄せてしばらくの間
ゆっくりとした呼吸でそのままでいた。
それが、俺にうっとりしてくれたのか
こいつでしかたがないと諦めをつけて
くれた時間だったのかは、わからないよ。

数日後。なんの変化があったのかは
俺にはわからないが、努が
「ねえ。佑樹。今日学校終わったら
家にこない?」
と、ほんのり頬を染めて誘ってくれた。
俺は素早く努の唇を指でまさぐると
それはある程度期待していいってこと?
なんてかっこつけた。
「んもう!佑樹のバカ!」
その日一日、努は熱っぽく俺を見つめた。
普通の平日、六時間の授業がみっちりあり
俺は悶絶するほど時間が長く感じた。
おまけに努は週番で、俺は一時間
教室で待ちぼうけを食った。


「お。努おかえり。」
努の家につくと入れ違いに歩が朱美と出ていく。
歩にしては珍しく朱美を家に送っていく
らしいが、多分し足りないから朱美ん家で
もう一発するつもりだろう。
「志乃、今日は彼氏んとこ行ってるよ。」
志乃とは彼らのお姉さんだ。
努は俺の腕に絡みついて
今夜は遅くまで家には誰もいないよ、と
甘い声で囁くと俺の耳にキスしてくれた。

努の部屋に通されると6時を回ったところ
だった。お腹減らない?と努は彼女の
ようにさらりと口にした。
もちろん空腹はそうだけど
俺はお前を食べに来たんだぜなんて
かっこつけて言おうかなと思ったが
努は普通の表情で俺に
「ビーフストロガノフ喰う?」
なんて呪文のようなことを言ってきた。

「昨夜つくって一日寝かしたんだよ。」
もしかして、俺のため?
「嫌いじゃなかったら食べてって。」
もう、昇天しちゃいそうに旨かった!
「飯はだいたい俺が作るんだよね。志乃も
手伝ってはくれるけど、献立考えるのは俺。」
面倒じゃないの?と訊くとさほど苦ではない
という。俺はトーストにバター塗るくらいで
手伝った気になっていたけどね。
「今度佑樹んちにも作りにいこうか?
まあお父さんやお兄さんが良かったらだけど。」
俺はどうにもいとおしい
こいつをついに押し倒した。
「だめ。後片付けしてからだよ。」
焦らされて、俺のはずっと立ち上がった
ままだった。
駄々っ子をあやすように、努は
時折俺にキスをしてくれた。
「そうだ。お風呂はいれば?
佑樹に言うの、気の引ける台詞だけど。」
そうだな。綺麗にしなきゃ、だな。
どうせなら風呂は洗うところからでも
やらせてもらいたかったが
もう湯船にお湯も張り終わった後だった。
なんか、半同棲の週末デートだな。

風呂から上がると、なんとお父さんとお母さんが
帰ってきていた。確かご夫婦でバーを経営して
いるはずだ。仕込みを終えて一旦家に戻った
だけだというが、挨拶せねばなるまい!

f:id:sinobusakagami:20150817180106j:plain


「あら!かっこいい子つれてきて。努も
やるじゃない。」
ふっくらして、でもきりっとした目元の
お母さんが俺の二の腕を触る。
「ちょっかい出すなよ。ただの友達かも
知れないだろう。」
お父さんはかなりの細マッチョ。
うりざね形の輪郭が穏やかで品がいい。
「同級生の阿部佑樹くん。俺の恋人だよ。」
俺はよろしく、と頭を下げながら
確かにこの親子の会話に違和感を感じていた。
そして、俺たちは恋人同士なんだなと
顔には出さず何度も心の中でガッツポーズを
していた。くはあ!うれしいっ!
「佑樹?あのね。こっちが母さん。」
ん?細マッチョを指差した。
「こっちが、父さん。」
ふっくらぱっちりのママを、父さん?
「これで紹介し終えたな。うちの家族。」
お父さんとお母さんは俺が告げられた事実を
咀嚼しきれていないのも構わず、お店に
帰っていった。

もう俺は待ち切れなかった。
心も体もはち切れそうだ。
硬く立ち上がりすぎて腹にめり込むんじゃ
ないかと思うほどの俺のぺニスを
努は事も無げに握った。
「あ、あうん!」
恥ずかしい。握られた瞬間だった。
「んもう。こんなにしちゃって。
痛かっただろ?馬鹿だな。」
俺の果てたあとを努はやさしく舐めてくれる。
そ、そんな。こんな風にしてもらっちゃって
いいのか?あ、あああ!はあ!
二回目は努の上の口で果てた。
「あのさあ。まさかと思うけど、こうして
触れられるの初めてなの?」
そうだ。俺はまごうことなき童貞だ。
「んふ。こうして何回いくか、試す?」
楽しそうに愛しそうに俺のぺニスをしゃぶる
努。体で愛し合うってこういうこと?
いや、俺だって努を悦ばせたい。
努を押し倒して今度は俺が愛撫をはじめる。
あ、はぁん、ん、んふぅん、、、
歩称するエンジェルボイス。
俺はずっと勃起しっぱなしだった。



f:id:sinobusakagami:20150817180139j:plain






「愛してるよ。努。」
「俺もだよ。かわいい。佑樹。」
軽くシャワーを浴びて服を着た俺の
シャツのボタンを二つあけて
努はキスマークをつけてくれた。
「もう、佑樹は俺のもの。誰にも渡さない。」
あ。もうまた勃起しちゃった。






俺たちはいつまでこんな風に一緒に
いられるんだろう。
それは俺たち次第だ。
休みの日には銭湯を手伝う俺たちが
親父にどう見えるのかはわからない。
37にもなって、男同士つるんでるんだから
薄々わかっててもいいくらいだよね。
大丈夫。親父の心臓を驚かさないように
すこーしずつ、教えていくから。

f:id:sinobusakagami:20150817180156j:plain